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小さな在庫管理

在庫管理導入からシステム作成まで詳細解説!

各種発注方式を在庫推移グラフで詳細解説! [在庫管理導入#05]

この記事では、4種の基準発注方式と2種の簡易発注方式について解説します。

在庫量を決めていくうえで必要な情報となりますので、どの発注方式を採用するか事前に検討しましょう。
また、発注期間・調達期間もこの段階で設定しておきましょう。


対象品特性調査

発注方法について


発注は、発注をおこなう時期や、発注量の決定の仕方で、発注方法が異なるので、それぞれ詳細を解説していきます。

定期・不定期発注

定期発注は、例えば毎月10日に発注するなど、一定時期に発注する方法です。
決められた発注日にだけ発注作業をすればいいので、工数は少なくて済みます。ただし、需要変動に弱く、在庫の過不足を起こし易い為、在庫量の適正水準の維持は難しい発注方法です。

不定期発注は、発注点管理ともいわれ、決められた発注点がきたら発注する方法です。
定期発注と比較し、在庫量の適正水準の維持はし易い発注方法です。ただし、日々、発注点到達を監視しなければいけないので、なんらかの工夫やシステム支援があるといいでしょう。

また、供給元との関係性や輸送方法等から、どちらかに固定されている場合が多く、変更も難しい場合があります。

定量・不定量発注

定量発注は、毎回100個で注文するなど、注文数が決まっている方法です。
計算等がいらないので工数はかかりません。ただし、需要変動に弱く、在庫の過不足を起こし易い為、在庫量の適正水準の維持は難しい発注方法です。

不定量発注は、発注時に必要量を計算し発注する方法です。
必要量は、現在庫数や出庫予定数・発注残等のデータを取得し計算で求めることができますが、大きな手間がかかるので、なんらかのシステム支援が必要となります。

また運用上は、不定量発注の不定量とは、1個からではなく、供給元と取決めた発注単位や箱入数などを基準に何ロット、何箱で注文するか変動させることと捉えて下さい。

 

基準発注方式


4つの発注方法でマトリックスを組むと下図のように、4種類の発注方式が決まってきます。

基準発注方式

4種類の発注方式の特徴を、それぞれの在庫推移をみながら解説していきます。


在庫推移の基準となる出庫データは下図となります。

出庫データグラフは、縦軸に在庫量(1目盛10台)、横軸に日時(1目盛1日)をとり、出庫数は5日間を基準にプロットしてあります。

在庫量は、1ヶ月で1回転(出庫数200台/30日)しますが、10〜15日の区間で大きく下振れする状態です。

各発注方式の在庫推移は、出庫データのグラフに、それぞれの発注方式で発注活動した場合の入庫データを加味してあらわしていきます。

1.定期定量発注方式

一定時期に一定量発注する方式です。

導入の難易度は低い発注方式ですが、需要動向を考慮していないので、在庫の過不足が発生し易い方式です。

定期定量発注方式

在庫推移グラフでは、5 • 15 • 25日に発注し、10 • 20 • 30日に50台入庫されます。
10〜15日の区間で大きく下振れした後、在庫量が復元されるまでに日にちが掛かるので、在庫量の少ない状態での受注対応を迫られます。
また、出庫量が少ない時は、発注を止めない限り、在庫量は最大在庫を超えて積み上がってしまいます。

定期定量発注方式は、在庫量の定期的な確認や発注量のメンテナンスが必要となります。

 

2.定期不定量発注方式

一定時期に必要量を計算し発注する方式です。

発注量は、発注間隔分の出庫量が加算され、ばらつきが大きくなる傾向にありますが、在庫量の維持はし易い方式です。

定期不定量発注方式

在庫推移グラフでは、5 • 15 • 25日に発注し、10 • 20 • 30日に必要量が入庫されます。
15日の発注量を増やしたことで、在庫量の復元は早まっていますが、15日と25日の発注量は約5倍以上の開きがあり、発注先の工数負荷が高まってしまうでしょう。
また、発注量だけでなく、在庫量もばらつきが大きくなってしまいます。

定期不定量発注方式は、必要量の計算には手間がかかりますが、一定時期のみなので工数計画が立てられます。また、なんらかのシステム支援があれば工数は低減できるでしょう。

 

3.不定期定量発注方式

発注点がきたら一定量発注する方式です。

発注頻度は上がりますが、在庫量のばらつきが小さくなり、適正在庫が維持し易い方式です。

不定期定量発注方式

在庫推移グラフでは、3 • 9 • 13 • 18日に発注し、8 • 14 • 18 • 23日に50台入庫されます。
10〜15日の区間で大きく下振れしますが、発注点到達を監視して、早目の発注行動を起こしているので、安全在庫内での滞留日数は少なく済み、在庫量は適正水準で推移します。

不定期定量発注方式は、発注点到達の監視に手間はかかりますが、定量発注なので発注自体は容易と言えます。
発注点は在庫置き場レベルで、かんばんや数取り表でも監視はできますが、発注には発注残の情報が必要となるため、なんらかのシステム支援があるといいでしょう。

 

4.不定期不定量発注方式

発注点がきたら必要量を計算し発注する方式です。

在庫量のばらつきが小さくなり、適正在庫が最も維持し易い方式ですが、導入の難易度は非常に高い方式です。

不定期不定量発注方式

在庫推移グラフでは、3 • 10 • 14 • 29日に発注し、8 • 15 • 19日に必要量が入庫されます。
10〜15日の区間で大きく下振れしますが、発注点到達を監視して、早目の発注行動を起こしていることと、必要量を計算し発注して、在庫の嵩上げ量が増したことにより、安全在庫内での滞留日数は少なく済み、在庫量は適正水準で推移します。

発注点到達の監視や必要量の計算に手間はかかりますが、需要変動に最も適している方式です。
システム支援が必須となります。

 

基準発注方式 は、Aランク及びBランクの品物に適用させましょう。

工数負荷やシステム導入など、ハードルは高いですが、需要変動に最も強い、不定期不定量発注方式の採用を目指しましょう。

 

簡易発注方式


代表的な、2種類の簡易発注方式について、解説します。

1.ダブルビン方式

2箱用意し、1箱なくなったら、1箱発注する方式です。
不定期定量発注方式に含まれますが、発注タイミングを発注点ではなく箱単位とすることにより、発注点設定の手間を省くことができます。
また、見た目で発注点が判断できるので、管理し易い方法ともいえます。

2.補充方式

出庫されたら、出庫分だけを発注する方式です。
不定期不定量発注方式に含まれ、最大値管理ともいえます。
発注点設定や発注量計算の必要がなく、管理し易い方法ともいえます。

 

簡易発注方式は、Cランクの品物に適用させましょう。

また、システム導入ができていれば、基準発注方式のいずれかを適用させてもいいでしょう。

 

運用上の注意点


発注方式が決まったら、在庫量の計算に用いるため、下記の期間も確認・設定しておきましょう。

・調達期間(発注リードタイム)
・発注間隔(定期発注の時のみ)

 

対象品特性調査まとめ


対象品特性調査の方法が分かったところで、下記ポイントを参考に、実際に調査してみましょう。

ポイント! ・統計値からのABCランクづけ
・発注方式の設定
・調達期間、発注間隔の確認・設定

 

次回からは、在庫量の設定について解説していきます。
まずは、安全在庫の求め方から解説します。
www.minizaiko.com

 

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システム導入の参考事例が、その特徴と活用事例とともに書かれている良書です。