第11回では、倉庫管理の最終ステップとして「先入れ先出し法(FIFO)」を達成するための入出荷ルールについて解説します。 在庫管理は、設計や配置だけでなく、日々の入出荷作業がルールに沿って運用されることで初めて機能します。
先入れ先出しを徹底することで、品質劣化や在庫ロスを防ぎ、在庫の鮮度と信頼性を保つことができます。 そのためには、作業効率を損なわずにルールを守れるよう、現場にフィットした入出荷の流れを設計することが重要です。
今回は、FIFOを実現するための基本ルールと、運用上の注意点を整理しながら、実務で活用できる入出荷管理の考え方を実例とともに詳しく解説します。
※在庫管理導入の全体像や各指標の関係性を体系的に整理したい方は、以下のガイド記事も併せてご覧ください。
置き場管理
入出庫方法
先入れ先出し法
先入れ先出し法とは、入庫日の古い順に出庫する方法のことです。
先に入荷したものから先に出荷することから、英語ではFirst-In First-Outといい、略して FIFO と表記されることもあります。
FIFOの運用が定着すると、品物の長期滞留を防止できるほか、倉庫や棚の整頓が進み、品質維持や在庫数量の正確な把握にもつながります。
また、これまでの設計で設定したように、倉庫在庫には安全在庫が含まれます。この安全在庫を適切に入れ替えるためにも、先入れ先出しの運用は不可欠です。
ただし、FIFOの導入には、ロット管理や倉庫内の仕組みづくりが必要となります。特に「先に入れたものを先に出す」ためには、追加作業やマテハン(搬送機器)の設置スペースが求められるケースもあります。
そのため、作業負荷・スペース・システム支援とのバランスを考慮した導入設計が重要です。 現場の実態に合わせて、無理のない形でFIFOを組み込むことが、在庫管理の精度向上につながります。
入出荷ルール
在庫管理の運用では、作業効率を重視した入出荷ルールの整備が欠かせません。 特に、箱の並べ替えや無駄な移動が発生しないよう、入庫位置・出庫位置を明確に設定し、作業者が自然に動ける動線を確保しましょう。
また、ルールを定めるだけでなく、作業者への周知と徹底も重要です。 現場での運用が定着することで、ミスや滞留の防止につながります。
下記に運用例をあげましたので、参考にして、置き場に合った入出荷ルールを設定しましょう。
①前後方向での先入れ先出し
棚の後方から入庫し、前方から出庫する方式です。コンビニの飲料棚などで広く採用されており、読者にも馴染みのある運用例といえるでしょう。
この方式では、傾斜棚を用いることで、自然な重力移動によって先入れ先出しが実現されます。
また、棚の背面にストックエリア(バックヤード)を設けることで、ダブルトランザクション型の運用が可能になります。ただし、棚の後方に十分なスペースが必要となるため、レイアウト設計時に事前の検討が不可欠です。

②横回転での先入れ先出し
棚の横方向に在庫を回転させることで、先入れ先出しを実現する方法です。入庫は空いている場所に行うため、作業者にとって分かりやすく、柔軟な運用が可能です。
ただし、出庫位置を明確にするためには棚札などの表示が必要となります。表示がない場合、誤出庫や順番の逆転が起こる可能性があるため、視認性とルールの徹底が重要です。
また、平台車(ローラー付き台車)などを活用して取り出し位置を移動させることで、表示がなくても自然に先入れ先出しが行えるようになります。この方法は、スペース効率と作業効率のバランスを取りやすく、現場に合わせた柔軟な設計が可能です。

上記の事例を参考に、自社の現場に合わせた入出庫ルールを工夫し、無理なく先入れ先出しを達成できる運用設計を目指しましょう。
倉庫管理まとめ
ここまでの内容で、倉庫管理の基本設計から運用ルールまでの手法が整理できました。実際の現場に落とし込む際は、以下のポイントを参考に、自社に合った管理方法を策定してみましょう。
次回は、これらの管理手法を支えるシステム導入の考え方と選定ポイントについて解説します。 現場にフィットするIT支援のあり方を、一緒に整理していきましょう。
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参考書籍
在庫管理の次は、物流管理へ