第8回では、在庫量の設定において欠かせない「発注量」の計算式について解説します。 発注量は、在庫の適正水準を維持しながら、欠品や過剰在庫を防ぐための重要な指標です。
適切な発注量を設定することで、在庫の安定供給と管理負荷のバランスを取ることができます。 ただし、計算式をそのまま運用に用いる際には、前提条件や注意点もあるため、併せて確認しておくことが重要です。
安全在庫・発注点・最大在庫との関係性も踏まえながら、発注量の考え方を整理し、自社の運用に活かしていきましょう。
在庫量設定
発注量とは
発注量とは、在庫量を維持するための調達量のことです。

在庫量は、図のように調達期間(発注リードタイム)中の出庫量によって下振れします。 発注量が少なく感じられる場合もありますが、これは調達期間中に出庫量がゼロだった場合でも、最大在庫量を超えないように設計されているためです。
在庫管理では、発注によって在庫量を最大在庫まで戻すことが目的ではありません。 むしろ、在庫量が常に適正水準の範囲内で推移することを意識し、過剰在庫や欠品を防ぐバランスの取れた運用を目指すことが重要です。
発注量の計算式
1.基準統計量
①最大在庫量 = 計算値
②現在在庫数 = データ
③発注残数 = データ
2.計算式
発注量 = 最大在庫量 − 現在在庫数 − 発注残数
詳細
最大在庫量は事前に計算されているので、現在在庫数と発注残数を取得できれば発注量の計算はできます。
最大在庫の求め方については、下記の記事で解説しています。
また、発注点・最大在庫の計算式から、
発注点 = ( 平均出庫量 × 調達期間 ) + 安全在庫
最大在庫量 = ( 平均出庫量 × 発注間隔 ) + 発注点
下記のようにあらわせます。
発注量 = ( 平均出庫量 × ( 発注間隔 + 調達期間 )) + 安全在庫 − 現在在庫数 − 発注残数
運用上の注意点
不定量発注では、発注単位の制約があります。そこで、発注量の計算式を下記の通り補正します。
RoundDown( 発注量 ÷ 発注単位 ) × 発注単位
発注単位が大きくなると、発注タイミングが遅れがちになり、欠品リスクが高まる可能性があります。 そのため、発注点到達時に、計算式で求めた発注量が発注単位の1単位以上になるように、最大在庫量を引き上げる、または発注点を引き下げるなどの調整が必要です。
このように、発注単位が在庫管理に与える影響は大きいため、可能であれば発注単位はなるべく小さく設定するのが望ましいといえます。
ただし、供給元の製造ロットや購入単価、取引条件などの制約がある場合は、現実的な範囲で調整を行う必要があります。
在庫量設定まとめ
在庫量設定に関する各種計算方法が整理できたところで、以下のポイントを参考に、実際に自社の在庫量を算出してみましょう。
これらの指標を正しく設定することで、欠品や過剰在庫を防ぎ、安定供給と効率的な運用が両立できる在庫管理体制が整います。
次回からは、在庫管理の運用に欠かせない「倉庫管理」について解説していきます。 まずは、倉庫内の配置設計を中心に、保管効率や作業導線を意識したレイアウトの考え方を整理していきます。
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参考書籍です